「杖と剣のウィストリア」は2024年7月7日から9月29日までTBS系全国28局ネットにて放送された、全12話のTVアニメです。本作は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)」で知られる大森藤ノが原作を担当し、青井聖が漫画を手がける作品で、2021年1月から「別冊少年マガジン」で連載されています。
アニメ制作はアクタスとバンダイナムコピクチャーズの共同体制で行われ、監督・シリーズ構成・脚本を𠮷原達矢(「チェンソーマン」アクションディレクター)が担当。キャラクターデザイン・総作画監督は小野早香(「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」)、音楽は林ゆうき(「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」)が手がけています。
主題歌は、オープニングテーマが「Fire and Fear」(PENGUIN RESEARCH)、エンディングテーマが「フローズン」(TRUE)となっています。
「杖と剣のウィストリア」の物語は、魔法至上主義の世界を舞台にしています。主人公のウィル・セルフォルトは一人前の魔導士を目指して魔法学院に入学しますが、彼には致命的な弱点がありました。それは「魔法がまったく使えない」ということです。
魔法が使えないという理由で同級生や教師から冷たい視線を浴び、時にはくじけそうになりながらも、ウィルは強い気持ちで前に進み続けます。杖は使えなくとも剣を執り、魔法至上主義の世界で自分だけに与えられた力を信じて戦い抜きます。そして、幼き日に大切な人と交わした約束を守るため、魔法の塔の頂を目指すのです。
物語の舞台となる魔法学院では、魔法の使い手が高く評価される社会構造になっており、魔法が使えないウィルは最下層の扱いを受けます。しかし、彼は誰よりも強い力と卓越した剣技を持っており、その実力で周囲の評価を覆していく展開が見どころとなっています。
本作には魅力的なキャラクターが多数登場します。主要キャラクターと担当声優を紹介します。
その他にも、キキ(CV:いなせあおい)、ゴードン・バレー(CV:浦和希)、リリール・マース(CV:大野智敬)など、個性豊かなキャラクターが多数登場します。
声優陣も豪華で、天崎滉平は「オーディションに合格したと聞いたときは、ウィルを演じられる喜びでいっぱいになり飛び跳ねて喜びました」とコメントしており、関根明良も「彼女の素敵なところをお届けできるよう精一杯頑張ります」と意気込みを語っています。
本作の最大の見どころの一つが、迫力満点のバトルシーンです。監督を務める𠮷原達矢は「チェンソーマン」でアクションディレクターを担当した実力者。原作の要である剣と魔法のバトルをハイクオリティなアクションとして描き出しています。
青井聖は「𠮷原監督は『Fate/apocrypha』の時に一目惚れして追いかけているアニメーターさんの一人でした!なので最初に監督の欄にお名前拝見した時から喜びのあまり震えが止まりませんでした」とコメントしており、アクションシーンへの期待の高さがうかがえます。
実際に放送されたアニメでは、魔法と剣のバトルシーンが見事に描かれており、「今期アニメの中でもトップレベルのバトルクオリティー」と評価されています。特に、魔法が使えないウィルが剣技だけで魔法使いたちと渡り合うシーンは圧巻で、視聴者を魅了しています。
また、モンスターデザインには須永賴太、原田吉朗、あきづきりょうが参加し、プロップデザインもあきづきりょうが担当。美術はスタジオイースターが手がけ、世界観を豊かに表現しています。
アニメ「杖と剣のウィストリア」は原作漫画をベースにしていますが、いくつかの違いも見られます。アニメでは大森藤ノが毎話レベルで書き下ろしのエピソードを追加しており、原作で描ききれなかったサイドストーリーやアクションシーンをアニメならではの表現で楽しむことができます。
𠮷原達矢監督は「原作で描ききれなかったサイドストーリーやアクション魔法シーンをアニメならではの表現で、皆さんに楽しんでもらえるようなシリーズとなるよう頑張ります」とコメントしており、アニメオリジナル要素も見どころの一つとなっています。
また、すでに「杖と剣のウィストリア 第2期」の制作も発表されており、今後の展開にも期待が高まっています。第1期は原作漫画のどこまでをアニメ化したのか、第2期ではどのような展開が待っているのかなど、ファンの間で話題となっています。
原作漫画は2024年4月時点で最新9巻まで発売されており、アニメ第1期はその一部をカバーしています。第2期では、さらに深まるウィルの成長物語や、新たな敵との戦いが描かれることでしょう。
「杖と剣のウィストリア」と「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)」は、同じ大森藤ノが原作を手がける作品として、いくつかの共通点が見られます。
両作品とも、主人公が努力と成長を重ねながら強くなっていく成長物語であり、ファンタジー世界を舞台にしています。また、魅力的なキャラクターたちとの交流や、迫力あるバトルシーンなど、大森藤ノ作品の特徴が色濃く出ています。
一部のファンからは「内容はホントにダンマチって感じだよね。同じ世界の話という線もあるしな」という声もあり、世界観の類似性を指摘する意見もあります。しかし、「ダンまち」がダンジョン探索を中心としたストーリーであるのに対し、「杖と剣のウィストリア」は魔法学院を舞台にした学園ファンタジーという点で異なります。
大森藤ノは「アニメ化決定!」について「まるで魔法の呪文のようです。体は炎のように熱くなって、心臓は風の音のように高鳴っています。つまりワクワクとドキドキです!」とコメントしており、自身の作品のアニメ化に大きな喜びを感じていることがうかがえます。
「ダンまち」がシリーズ累計1,500万部を突破し、TVアニメも第5期まで製作が決定している大ヒット作であることを考えると、「杖と剣のウィストリア」も今後さらなる人気を博す可能性を秘めています。
「杖と剣のウィストリア」のアニメは、視聴者からさまざまな評価を受けています。特に高く評価されているのは以下の点です。
一方で、「ストーリー ★★★☆☆」「個性 ★★☆☆☆」という評価もあり、ストーリー展開については「ありきたりな部分もある」という意見も見られます。「テンプレ故につまらないし切った」という声がある一方で、「テンプレ故に面白いし継続している」という意見もあり、評価が分かれる部分でもあります。
総じて、「見て直感的に楽しむアニメ」として、特にバトルシーンとキャラクターの魅力で多くの視聴者を惹きつけている作品と言えるでしょう。
「杖と剣のウィストリア」は、王道的な学園ファンタジーの要素を持ちながらも、魔法が使えない主人公が剣で挑むという独自の設定や、迫力あるバトルシーン、魅力的なキャラクターたちによって、多くのアニメファンの心を掴んでいます。第2期の放送も決定しており、今後も注目の作品となることでしょう。