杉田智和さんは1999年に声優デビューし、初期のキャラクターから既に彼の才能が光っていました。デビュー作となる『セラフィムコール』では男子生徒Bを演じ、その後『魔装機神サイバスター』の南光次役を担当しています。
2000年代初頭には、『妖しのセレス』の御景各臣、『X-エックス』の皇昴流、『学園戦記ムリョウ』の守口京一などの役を演じました。この時期はまだ主役級ではありませんでしたが、確かな演技力を見せていました。
2002年には『ちょびっツ』で本須和秀樹役を担当し、同年の『フルメタル・パニック!』ではリャン・シャオピン役を演じています。特にリャン役は、後のシリーズにも登場する重要なキャラクターとなりました。
2003年から2004年にかけては『おねがい☆ツインズ』の山田正臣役、『DEAR BOYS』の布施歩役、『ボボボーボ・ボーボボ』のOVER役など、徐々に個性的なキャラクターを演じる機会が増えていきました。この時期の経験が、後の代表作につながる重要な土台となったのです。
杉田智和さんの代表作と言えば、まず挙げられるのが『銀魂』の坂田銀時役です。2005年から始まったこのアニメでは、天然パーマの元攘夷志士で現・万事屋の主人公を演じました。銀時のギャグからシリアスまでの幅広い演技は、杉田さんの演技力の高さを証明するものとなりました。「ジャンプフェスタで初めて声を聞いたとき、あまりにしっくりくる声で衝撃を受けた」というファンの声もあるほど、役と声の相性は抜群でした。2023年にはスピンオフ『3年Z組銀八先生』のアニメ化も発表され、銀時役は今も続いています。
もう一つの代表作が『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョン役です。2006年に放送されたこの作品では、破天荒なヒロイン・涼宮ハルヒに振り回される一般人の高校生を演じました。物語の語り手でもあるキョンの軽妙なモノローグは、杉田さんの声があってこそ心地よく響くものとなりました。「杉田さんの軽妙な語りが、共感できる人柄を作った」という評価も多く、この作品をきっかけに杉田さんのファンになった人も少なくありません。
これらの代表作は、杉田さんのキャリアの転機となっただけでなく、アニメファンの間で不動の人気を誇る作品となっています。どちらの役も、杉田さんの持ち味である低音ボイスと絶妙なツッコミ、そして時に見せる真剣な演技が光る、まさに当て役と言えるでしょう。
杉田智和さんは、アクション性の高い人気アニメでも重要なキャラクターを多く演じています。特に注目すべきは『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第2部「戦闘潮流」で主人公を務めたジョセフ・ジョースター役です。普段はおちゃらけていながらも、戦闘時には頭脳派の策士として活躍するジョセフは、杉田さんの演技の幅広さを存分に発揮できるキャラクターでした。「"またまたやらせていただきましたァン!"など原作の特徴的なセリフを見事に演じている」とファンからの評価も高く、歴代ジョジョの中でも特に人気のある主人公となっています。
また、世界的人気作『ONE PIECE(ワンピース)』では、四皇ビッグ・マムの息子であるシャーロット・カタクリ役を演じました。2018年から登場したこのキャラクターは、モチモチの実の能力者で、主人公ルフィとの激闘が印象的です。冷静沈着で強力な敵キャラクターを、杉田さんの低く渋い声が見事に表現しています。
さらに『鬼滅の刃』では、鬼殺隊の最高位である柱の一人、悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)役も担当。盲目の石柱として登場するこのキャラクターも、杉田さんの落ち着いた声質が活かされた役柄です。
『七つの大罪』のエスカノール役も忘れられない存在です。昼は最強で傲慢、夜は弱く臆病という二面性を持つキャラクターを、杉田さんは見事に演じ分けました。
これらのアクションアニメでの役柄は、杉田さんの声優としての実力を示すとともに、彼の演技の幅広さを証明するものとなっています。
杉田智和さんは教師役も数多く演じており、その中でも特に印象的なのが『暗殺教室』の烏間惟臣(からすまただおみ)役です。元防衛省所属の特殊部隊員で、暗殺のプロである烏間先生は、生徒たちに暗殺技術を教える厳しくも頼れる教師として描かれています。杉田さんの低く渋い声が、このクールでプロフェッショナルな教師像を完璧に表現しました。
また、『銀魂』では坂田銀時が教師役を演じるスピンオフ『3年Z組銀八先生』も存在します。通常の銀時とはまた違った、教師としての一面を見せるこのスピンオフは、2023年にアニメ化が発表され、杉田さんの教師役の新たな一面が期待されています。
さらに『男子高校生の日常』では、生徒役のヒデノリを演じていますが、この作品でも教師と生徒の掛け合いが見どころの一つとなっています。杉田さんの演じるヒデノリは、クールでツッコミ役のキャラクターで、作中の人気キャラクターの一人です。
教師役は権威ある立場でありながらも、生徒との関係性や個性的な教育方針など、演技の幅を広げられる役柄です。杉田さんの落ち着いた声質と時に見せるコミカルな一面が、これらの教師キャラクターに深みと魅力を与えています。
2020年代に入っても杉田智和さんの活躍は衰えることを知りません。2023年には『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』で前世の男役を担当し、後悔ばかりの人生を送ってきた主人公の心情を繊細に表現しました。同年の『東京リベンジャーズ』では柴大寿役を演じ、「"ドーはド突くのドぉぉ"の声が低くてインパクトがあった」と評判になりました。
また、『アンデッドガール・マーダーファルス』ではアレイスター・クロウリー役、『婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む』ではアレン・クロフォード役と、主要キャラクターを次々と演じています。特にアレン役は「カッコよくて優しくて色っぽくて……大好きな杉田さんのお芝居がいっぱい詰まった作品」と評価されています。
意外な出演作としては『ちいかわ』のポシェットの鎧さん役があります。見た目は怖そうな鎧さんですが、実は優しい性格で、「ちいかわにポシェットを見せて"使ってマ~ス"と小躍りするシーン」が特に人気です。この役は杉田さんのコミカルな一面が活かされた、新たなファン層を開拓する役となりました。
2025年3月現在も、杉田さんは多くの新作アニメに出演しており、その活躍の場はさらに広がっています。長年のキャリアで培った演技力と、常に新しいキャラクターに挑戦する姿勢が、彼を第一線の声優として支え続けているのでしょう。
今後も杉田さんは、これまでの代表作のシリーズ続編や、新たな話題作への出演が期待されています。特に『銀魂』や『涼宮ハルヒの憂鬱』などの人気シリーズの新展開があれば、ファンにとって大きな喜びとなるでしょう。
杉田智和さんは声優としての活動だけでなく、ラジオパーソナリティとしても高い人気を誇っています。2009年に配信を開始したインターネットラジオ番組『杉田智和のアニゲラ!ディドゥーーン』は、杉田さんが好きなアニメやゲームの話、思い出話をリスナーと共有する内容で、多くのファンに愛されてきました。その後、番組はリニューアルを経て『アニゲラ!ディドゥーン!!!』というタイトルになり、文化放送「超!A&G+」で配信されています。
このラジオ番組では、杉田さんの素の部分や、アニメやゲームに対する深い知識と愛情が垣間見られ、声優としての一面だけでは知ることのできない魅力が詰まっています。リスナーとの交流も活発で、ファンとの距離の近さも人気の理由の一つです。
また、杉田さんは声優事務所「AGRS」の代表取締役も務めており、声優としてだけでなく、業界の経営者としての一面も持っています。この多角的な活動は、彼の視野の広さと、声優業界への深い理解と貢献を示すものです。
さらに、YouTubeチャンネルも開設しており、そこでも自身の趣味や日常、声優としての裏話などを発信しています。SNSでの活動も活発で、特にTwitter(現X)では多くのフォロワーを持ち、ファンとの交流を大切にしています。
杉田さんのこうした多方面での活動は、声優としての魅力に加えて、一人の人間としての親しみやすさや誠実さを感じさせ、多くのファンを魅了し続けています。声優業界の中でも、特に多彩な才能と活動範囲を持つ存在として、今後もその活躍が期待されています。
杉田智和さんの活躍はアニメだけにとどまらず、ゲームや実写作品の吹き替えなど多岐にわたります。ゲーム作品では特に『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』のカズヒラ・ミラー役が有名です。このキャラクターは後のシリーズ作品にも登場し、杉田さんの演じるミラーは重要な役割を担っています。
また、『ペルソナ』シリーズの足立透役も印象的な役柄です。一見優しそうな刑事が実は凶悪犯罪の首謀者という二面性のあるキャラクターを、杉田さんは見事に演じ分けました。
さらに『ファイナルファンタジー』シリーズや『キングダムハーツ』シリーズなど、人気RPGにも多数出演しています。特に『ファイナルファンタジーXV』のイグニス・スキエンティア役は、クールでありながらも仲間思いの参謀役として、ゲームファンから高い評価を受けました。
実写作品の吹き替えでは、2023年に話題となった映画『RRR』の日本語吹き替えを担当し、その演技力が改めて注目されました。ハリウッド映画やドラマの吹き替えも数多く手がけており、声優としての幅広い活動を展開しています。
杉田さんは声優活動以外にも、自身が原作・脚本を手がけるドラマCD『真郷街 ―まきょうがい―』を2023年10月に発売するなど、クリエイターとしての一面も持っています。このように、声を使った表現活動の枠を超えて、創作活動にも意欲的に取り組んでいる点も、杉田さんの魅力の一つと言えるでしょう。
これらの多岐にわたる活動は、杉田さんの声優としての実力だけでなく、エンターテイメント業界における多才な一面を示すものであり、今後もさまざまな分野での活躍が期待されています。