週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画「SAKAMOTO DAYS」に登場する謎の敵「スラー」。その正体は「有月憬(うづきけい)」という人物です。有月は殺し屋を狙って殺害する「殺し屋殺し」として恐れられ、現場に必ず「×」の印を残すことから「スラー」と呼ばれるようになりました。
有月憬は白髪でイケメンな容姿が特徴的な27歳の青年で、身長179cm、体重73kgという均整の取れた体格の持ち主です。彼はスラー一派と呼ばれる組織のリーダーとして、凶悪な殺し屋たちを従えています。
物語の中で有月は、主人公の坂本太郎に10億円もの懸賞金をかけ、殺連関東支部を襲撃するなど、殺連を壊滅させるための様々な活動を行っています。この襲撃では180名もの死傷者を出し、建物を半壊させるほどの破壊力を見せつけました。
有月の武器は刃がついた鋼鉄の鞭で、その攻撃範囲は12メートル以上にも及びます。坂本でさえ見切れないほどの高速攻撃を繰り出すことができ、その実力は作中でも最強クラスと言われています。
有月憬は14歳の時にJCC(殺し屋養成機関)の編入試験に合格し、坂本太郎や南雲、赤尾リオンと同じ学年に編入しました。しかし、当時の有月は目立たない地味な学生で、特筆すべき成績も残していませんでした。
実は有月は、現在の殺連会長で有月の兄である麻樹栖のスパイとしてJCCに潜入していたのです。麻樹栖は有月を「弟」と呼んでいますが、実際の血縁関係については明らかになっていません。
JCC在学中、有月は3年生の時に不良撲滅用任務に参加した際に坂本たちと出会い、徐々に仲を深めていきました。しかし、麻樹栖から当時の殺連会長である天羽宗一の妻子誘拐の命令を受けた有月は、アルカマルの仲間「楽」を人質に取られていたため、その命令に従わざるを得ませんでした。
有月は一般人である妻子に手を出すことに抵抗を感じ、代わりに障壁となるキンダカを始末しようとします。しかし、その様子を赤尾リオンに目撃されてしまい、有月は追いかけるリオンとともに行方をくらましました。
その1年後、坂本が有月の情報を得て様子を見に行くと、そこには赤尾リオンの遺体と有月の姿がありました。坂本と有月は戦いますが、有月は敗北し、坂本に「頭部は避けてくれないか、死ぬまで空を眺めていたい。疲れた」と言い残して、とどめを刺されたはずでした。
しかし、約7年後の現在、有月は生きていることが判明し、坂本と再会することになります。
有月憬には二重人格があるという説が物語の中で示唆されています。JCC時代は目立たない学生だったにもかかわらず、姿勢や歩き方が全く別人のように変わることがあったことや、LABOに現れた際にシンがエスパーで心を読むと「二人分の声」がしたという描写があります。
また、LABOでは坂本のことを呼び捨てにしていましたが、原作第52話では「坂本君」と呼び方を変えるなど、作中では二重人格であることを示す伏線が散りばめられていました。
そして驚くべきことに、有月のもう一つの人格は「赤尾リオン」であることが明らかになっています。有月が二重人格になった正確な原因はまだ語られていませんが、麻樹栖からアルカマルを人質に取られて任務を強制されたことや、赤尾リオンとの関係が大きく影響していると考えられます。
逃亡中の有月と赤尾は、麻樹栖から「ある腕の立つ殺し屋の抹殺」という任務を与えられます。アルカマルの仲間を解放する条件としてこの任務を受けた有月でしたが、実はその標的が赤尾リオン自身だったのです。お互いが任務の標的を知らないまま覆面をして交戦した結果、有月は赤尾を倒してしまいますが、その正体を知って深く傷つきます。
この悲劇的な出来事が、有月の中に赤尾リオンの人格を生み出す原因となったのではないかと推測されています。
有月憬の目的は「現在の殺連を抹消し、新しい秩序を自ら作ること」です。彼はこの目的について「尊い正義のために世界を自然な形に戻したい」と述べています。
有月が殺連に恨みを持つ背景には、彼の出身である「アルカマル」での経験があります。アルカマルは殺連直営の児童養護施設ですが、その実態は身寄りのない子供たちを引き取り、幼い頃から徹底的に殺しを教え込み、ORDERを人工的に生み出すための施設でした。
有月を含めたアルカマル出身者たちは、望んでもいない力や戦い、人生を無理矢理に与えられたため、殺連に対する怒りや恨みは相当なものです。スラー一派の構成幹部のほとんどがアルカマル出身であり、有月にとっては家族同然の仲間となっています。
赤尾リオンを失った後、有月は「殺し」に対するタガが外れ、「俺達は業など背負わない。殺しに一切の責任も持たない」と独白し、全てを壊すことを誓います。彼の目標は殺連を潰した後、「何も手を加えずに自然な状態にするのが最良の秩序」という考えに基づいた新しい世界を作ることです。
有月憬には「解離性同一症」と「内臓逆位」という二つの特異体質があることが明らかになっています。解離性同一症は一般的に「多重人格障害」とも呼ばれる精神疾患で、有月の場合は赤尾リオンの人格が共存していることを意味します。
一方、内臓逆位とは、体内の臓器が左右反対に配置されている状態を指します。通常、心臓は左側にありますが、内臓逆位の場合は右側にあるなど、全ての内臓の位置が鏡像のように逆転しています。
この内臓逆位という特徴が、過去に坂本との戦いで致命傷を負いながらも生き延びることができた理由の一つではないかと考えられています。坂本が狙った急所の位置が、有月の場合は通常と異なっていたため、完全に致命傷とならなかった可能性があります。
また、この特異体質は有月の戦闘スタイルにも影響を与えている可能性があります。通常とは異なる体の構造を持つことで、相手が予測できない動きや攻撃パターンを生み出せるかもしれません。
内臓逆位は実際に存在する医学的な状態で、約1万人に1人の割合で発生すると言われています。多くの場合は無症状で生活に支障はありませんが、有月の場合はこの特徴が彼の生存と戦闘能力に大きく関わっていると考えられます。
有月憬の実力は作中でも最強クラスと評価されており、篁を超える実力者とも言われています。過去編で坂本と戦った時は、手も足も出ず坂本の放った銃弾を受けて死んだはずでした。しかし、殺連の関東支部襲撃の際に坂本と再戦した時は、一瞬で一撃を与えるほどの強さを見せつけました。
有月の主な武器は刃がついた鋼鉄の鞭で、その攻撃範囲は12メートル以上にも及びます。この鞭は長くしなる特性を活かし、敵に巻き付けたり突き刺したりと多様な攻撃が可能です。さらに、坂本でさえ見切れないほどの高速攻撃を繰り出すことができます。
また、有月は鋼鉄の鞭だけでなく、ナイフも使いこなす様子が描かれており、接近戦と遠距離戦の両方に対応できる戦闘能力を持っています。
坂本との再戦では、太った現在の坂本に対しても一撃を与えるほどの実力を見せました。これは過去の坂本との戦いから大きく成長したことを示しています。有月の強さの秘密は、二重人格による予測不能な戦闘スタイルや内臓逆位による特異な体の構造、そして何よりも殺連への強い復讐心が原動力となっていると考えられます。
現在の有月は、過去のJCC時代の物静かで殺しに消極的だった青年とは全く異なる危険な思想の持ち主となっており、その強さと目的意識の高さから、坂本たちにとって最も手強い敵の一人となっています。
有月憬が率いるスラー一派は、主に殺連直営の児童養護施設「アルカマル」出身のメンバーで構成されています。彼らは有月にとって家族同然の存在であり、共通の目的である「殺連の打倒」のために結束しています。
スラー一派の主要メンバーには以下のような人物がいます:
これらのメンバーはそれぞれが高い戦闘能力や特殊な能力を持っており、殺連関東支部襲撃の際にはその実力を遺憾なく発揮しました。
スラー一派のメンバーたちは、有月と同じくアルカマルで過酷な訓練を受け、望まない人生を強いられてきた過去を持っています。そのため、殺連に対する恨みや怒りは有月と同様に強く、「新しい秩序の創造」という有月の目的に共感し、忠実に従っています。
彼らの結束力の強さは、単なる組織としてだけでなく、共通の苦しみを経験した「家族」としての絆に基づいています。この強い絆が、スラー一派の団結力と戦闘力を高め、殺連という強大な組織に対抗できる理由の一つとなっています。
有月はリーダーとして冷静に指示を出し、メンバーたちの能力を最大限に引き出す采配を振るっています。彼の指揮の下、スラー一派は殺連に大きな打撃を与え続けており、物語の中で重要な敵対勢力として存在感を示しています。