サカモトデイズの世界観を支える重要な要素である「JCC（Japan Clear Creation）」は、日本国内最高峰の殺し屋養成機関として描かれています。絶海の孤島に位置し、厳重なセキュリティに守られたこの施設では、未来の殺し屋たちが日々過酷な訓練に励んでいます。
JCCは学校法人として運営されており、全寮制の4年制教育機関です。生徒数は1000人弱で男女比は8:2と男性が多く、教員数は35名という設定になっています。卒業生のうちわずか1割だけがプロの殺し屋ライセンスを取得できるという厳しい世界であり、残りの9割は途中で脱落するか、訓練中に命を落とすという過酷な環境です。
基本理念は「透明な殺意に徹せよ」とされており、この言葉がJCCの教育方針を象徴しています。作中では主人公の坂本太郎をはじめ、多くの実力者がJCCの卒業生として登場し、物語の重要な軸となっています。
JCCでは学生たちが将来どのような殺し屋になるかによって、専攻する学科が分かれています。現在作中で判明している学科は以下の通りです：
各学科では専門的な知識と技術を習得するためのカリキュラムが組まれており、学生たちは自分の適性や目指す方向性に合わせて専攻を選択します。例えば武器製造科では専用の研究室があり、新たな武器の開発や改良が行われています。
講義内容も多岐にわたり、暗殺実習、暗殺実践演習、暗殺史概論、近接格闘演習、射撃演習など、殺し屋として必要なスキルを総合的に学ぶことができます。これらの講義は非常にシビアで、遅刻した際には銃で脅されることもあるなど、日常的に命の危険と隣り合わせの環境となっています。
優秀な成績を収めた学生には特権が与えられ、通常は立ち入ることのできない施設への入館許可などの特典があります。このように実力主義の世界観が徹底されているのもJCCの特徴です。
JCCへの入学は非常に難関で、年齢制限はないものの、厳しい入学試験に合格する必要があります。通常の入学試験の倍率は明示されていませんが、編入試験については倍率が40倍を超えるとされています。
編入試験は毎年内容が変更されるため、一般試験よりも難しいとされており、何度も浪人して毎年受験する殺し屋志望者も存在します。プロレベルの殺し屋も受験してくるほど難易度が高く、作中ではエスパーのシンが外部試験でプロライセンスを取得した後、編入試験を受けてJCCに入学したことが描かれています。
JCCには重要な規律があり、懸賞金のかかっている人間の入学は禁止されています。これは殺し屋養成機関としての秩序を保つための重要なルールの一つです。
入学試験の具体的な内容は作中でも詳しく描かれていませんが、殺し屋としての基本的な適性や身体能力、精神力などが総合的に評価されると考えられます。この厳しい選考を通過した者だけが、JCCでの過酷な訓練に参加する資格を得るのです。
JCCの学生生活は一般的な学校とは大きく異なり、殺し屋としての訓練が日常に組み込まれています。その特徴的な例として、学食での食券購入方法があります。
学生たちは遠くに設置された券売機のメニューをレーザー銃で狙撃することで注文します。しかし、券売機のボタンの大半は「JCC丼」という不味い料理で占められており、銃の腕が未熟な学生は高確率でこのメニューを食べることになります。JCC丼の原料は玄米、レーション、日替わり野菜クズなどで構成されており、元「伝説の殺し屋」坂本太郎も「あの味は最悪」と評しています。
一方、腕の良い学生は唐揚げ丼、カツ丼、牛丼、親子丼、ステーキ定食など、様々な美味しいメニューを選ぶことができます。このシステムは、日常生活の中でも常に技術を磨くことを求められるJCCの教育方針を象徴しています。
また、全寮制のJCCでは学生たちは寮生活を送りながら、日々の講義や実習に取り組んでいます。厳しい訓練の合間には、学生同士の交流や競争もあり、坂本太郎が学生時代にはバレンタインチョコを92個も貰っていたというエピソードも描かれています。
JCCの学生たちは学業の傍ら、実践的な経験を積むためのアルバイトに従事することがあります。これらのアルバイトは単なる収入源というだけでなく、実地訓練としての側面も持っています。
人気のあるアルバイトとして以下のものが挙げられます：
| アルバイト | 報酬 | 危険度 | 内容 |
|---|---|---|---|
| フローター | 日給¥15,000 | D | 殺連の事後処理部隊として任務後の現場を修復・清掃する |
| スポッター | 日給¥2〜5万 | B | スナイパーの相棒として標的までの距離測定や風・天候の観測を行う |
| 被験 | 1回¥3〜80万 | S | 毒殺科の新薬治験や武器製造科の新武器の被験者になる |
特にフローターは殺連（日本殺し屋連盟）の事後処理部隊として、任務後の現場を修復・清掃する役割を担っており、多くの学生に人気のあるアルバイトです。先輩や友人の紹介が基本となっており、人脈形成の面でも重要な位置づけとなっています。
スポッターはスナイパーの相棒として標的までの距離を測ったり、風や天候を観測したりする役割で、射撃専攻の教員の推薦が必要とされています。より高度な技術と信頼が求められる仕事です。
最も危険度が高いのが「被験」で、毒殺科の新薬治験や武器製造科の新武器の被験者となるものです。危険度に応じて報酬も高額になっており、1回で最大80万円という金額が提示されています。常時募集中とされていますが、その危険性から志願者は限られているものと思われます。
また、学外での任務にかかった費用は経費として認められ、支給されるJCCカードの使用が許可されるという特典もあります。これらのアルバイト経験を通じて、学生たちは実践的なスキルを磨きながら、殺し屋としての将来に向けた準備を進めているのです。
JCCには「データバンク」と呼ばれる都市伝説が存在します。この都市伝説によれば、学校自体やこれまでの全学生の詳細な記録が保管されており、年齢・性別・体格などの基本情報から使用武器・得意体術・卒業後の歩みまで、あらゆる情報が記録されているとされています。「データバンクを見ればどんな殺し屋も丸腰同然」と言われるほど、その情報は詳細かつ網羅的なものとされています。
坂本たちの世代では「南階段下の謎の部屋」に、平助たちの世代では「大図書室か教頭室に隠し部屋」にデータバンクが存在すると噂されていましたが、誰もその正確な場所を突き止めることはできませんでした。
実はこの「データバンク」の正体は、神レベルの記憶力を持つ古株の用務員・廟堂という人物のニックネームでした。廟堂は長年JCCに勤務し、すべての学生や教員の情報を完璧に記憶しており、まさに「生きたデータバンク」として機能していたのです。
この設定は、JCCという組織の奥深さと、表面的には見えない情報網の存在を示唆しています。また、一見すると単なる用務員という立場の人物が、実は組織内で重要な役割を担っているという意外性も、作品の魅力の一つとなっています。
データバンクの存在は、JCCの卒業生たちにとっても一種の脅威となり得るものであり、自分の情報がすべて記録されているという事実は、彼らの行動に影響を与える可能性もあります。このように、都市伝説が実は真実であったという展開は、物語に深みを与える重要な要素となっています。
JCCからは多くの優秀な殺し屋が輩出されており、作中でも重要な役割を担っています。主な卒業生には以下のような人物がいます：
これらの卒業生たちは、それぞれの道で活躍しており、物語の中で重要な役割を果たしています。特に坂本太郎は、JCC卒業後に「伝説の殺し屋」として名を馳せ、殺連直属の特務部隊「ORDER」に所属していました。しかし、現在は妻の坂本葵と出会い、殺し屋を引退して一般人として生活しています。
引退後、坂本太郎は敵対組織のスラー（有月）によって10億円の懸賞金をかけられ、多くの殺し屋から狙われる身となりました。この設定が物語の主要な軸となっており、様々な殺し屋との戦いを通じて、坂本の過去や能力が明らかになっていきます。
JCCの卒業生たちは、その高い技術と経験から、殺し屋業界において重要な位置を占めています。彼らの活躍と交流は、サカモトデイズの世界観を豊かにする重要な要素となっているのです。
JCCは一般人が簡単にアクセスできないよう、絶海の孤島に位置しています。このロケーションは、殺し屋養成機関としての秘密性を保ち、外部からの侵入を防ぐ上で重要な役割を果たしています。
アクセス方法は極めて限られており、海路と空路の両方が厳重に管理されています。海路については、周囲の潮の流れが複雑なため船での上陸は不可能とされています。これは自然の地形を利用した防衛策であり、一般の船舶が近づくことさえ困難な環境となっています。
空路についても、迎撃システムによって厳重に守られており、JCC関係機以外の航空機が接近すると撃墜される仕組みになっています。このような強固なセキュリティシステムにより、許可のない外部者が施設に侵入することはほぼ不可能となっています。
施設内部も複数の棟に分かれており、一般学生が立ち入れる区域は限られています。優等生には特権として様々な棟への入館が許可されるなど、実力や立場によってアクセス権限が異なるシステムが採用されています。
このような厳重なセキュリティは、JCCが単なる教育機関ではなく、国家レベルの機密を扱う施設であることを示唆しています。殺し屋養成という特殊な目的を持つ機関として、その存在自体が一般社会から隔離されていることが、物語の設定として重要な意味を持っているのです。
また、このような隔絶された環境は、学生たちが外部の影響を受けることなく、殺し屋としての技術と精神を徹底的に鍛錬するための理想的な場所となっています。孤島という閉鎖的な空間で、彼らは文字通り「殺し屋」として生まれ変わるのです。
JCCと殺連（日本殺し屋連盟）は密接な関係を持っており、JCCは殺連の人材供給源としての役割を果たしています。
